「アプローチトーク」の意味、誤解していませんか?
営業の世界で「アプローチトークが大事」とはよく言われますが、
実はこの“アプローチ”という言葉自体に、誤解が多いと感じています。
多くの新人営業が「アプローチトーク=お客様と出会った直後の会話」だと捉えています。
つまり、最初の掴みや雑談、軽い問題提起など、いわゆる“ファーストコンタクト”の場面です。
しかし、営業において本当に成果を分けるのは、その前段階ではありません。
営業は「3つの段階」で構成されている
営業トークは、大きく以下の3フェーズで構成されます:
- フロントトーク: 訪問の簡単な趣旨説明、軽い雑談、アイスブレイク、現状確認、ヒアリングなど
- アプローチトーク: ヒアリング内容を踏まえ、「今回の訪問の意図」や「提案が必要な理由」を組み立てる
- 提案・クロージング: 商品やサービスを紹介し、成約へ導く
つまり、アプローチトークとは「提案の前に“聞く理由”を与える」重要な工程なのです。
フロントとアプローチの違いは「情報」か「意味」か
たとえば、フロントトークではこんな会話になります。
ユーザー「今日は結局どういうお話でしたっけ?」
営業 「本日は○○というお話で、ご訪問をさせていただきました。」
ユーザー「そういう話の営業はいっぱい来ているよ!」
営業 「あっそうなんですねー全部お断りされているんですかー?」
一方、アプローチトークではこう展開します。
「さきほどお話に出たよく営業が来て同じような話をされてお断りされているとおっしゃっておりましたが、弊社が今回お伺いさせていただいた理由ってそれとは全く別件でして、というのも〇〇って聞いたことありますか?」
フロント=事実の把握、アプローチ=意味づけという役割の違いを意識することで、提案の重みが変わります。
なぜアプローチトークが最重要なのか?
クロージングでよくある失注理由、それは「金額が高い」というものです。
でも実際には、「その金額を払う理由を納得できていない」だけなのです。
つまり、金額に対する判断は、アプローチトークの段階で決まっていることが多いのです。
提案が通るかどうかは、「その提案が必要だと思えるかどうか」にかかっています。
そしてその“納得の土台”を作るのが、アプローチトークなのです。
営業初心者が押さえるべきアプローチ5つの原則

① 顕在ニーズより潜在ニーズを軸にする
「効率化したい」「コスト削減したい」などの顕在ニーズは、すでに認識されている問題であり、競合とも重なりやすいです。
だからこそ、まだ言語化されていない“潜在的な課題”に働きかけることが重要です。
「この状態が続くと〇〇なロスが出るかもしれませんよね?」
という問いかけが、納得の入口になります。
② アプローチ軸は多くても2つ。理想は1つ
説得力を高めようと話題を増やすのは逆効果です。
話題が多いと、相手は「結局何が言いたいのか?」と混乱してしまいます。
1本の強いメッセージを深く届けることが重要です。補足軸を準備しても、展開は2つまでに留めましょう。
③ 説明より“キャッチボール”を意識
説明が長くなればなるほど、相手は思考停止してしまいます。
「なるほど」と思わせるには、自分の言葉で納得するプロセスが必要です。
質問→相手の回答→それを拾って深掘り、というキャッチボールが“納得”を生み出します。
④ 流れより“立ち止まる時間”が大事
営業の流れに慣れてくると、無意識に“滑らかに進めること”を重視してしまいます。
でも、納得は“立ち止まって考える時間”で生まれるものです。
「ここまでの話、少しでも気になる部分があれば教えてください」
こうした問いが、思考を深めるきっかけになります。
⑤ 金額失注はアプローチの設計ミス
「高い」と言われるのは、提案の価値が伝わっていない証拠です。
価値の土台がなければ、金額だけが一人歩きします。
つまり、金額に対する納得は“提案”でなく“アプローチ”でつくるものなのです。
よくある失敗パターンとその背景

アプローチトークがうまくいかない営業に共通するのは、「早く提案に入りたい」という焦りです。
- ヒアリングで聞けた言葉をすぐに商品紹介に結びつける
- 相手がまだ“興味段階”なのにプレゼンを始める
- 納得を作らないまま話を“流して”しまう
このようなパターンでは、「営業されている感」が強まり、警戒されてしまいます。
まとめ|アプローチトークで“提案の意味”をつくる
アプローチトークとは、「この話は聞く価値がある」と思ってもらう“理由づくり”の工程です。
- 潜在ニーズに軸を置く
- 話題は1~2本に絞る
- キャッチボールの会話を意識する
- スムーズさより“納得”を優先する
- 金額で断られる原因の8割はここにある
まずはこの部分を見直すことが、成果への最短ルートです。
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私自身、数多くの営業現場を見てきましたが、「話が上手い人」が売れるとは限りませんでした。
むしろ、“ちゃんと聞いて、ちゃんと納得をつくれる営業”の方が、安定した成果を上げていました。
もし今、営業に迷いや不安を感じているなら、まずはアプローチトークの設計から一緒に見直してみませんか?
