新人営業の育成は、単なる「教えること」ではありません。
その根底には、戦略的な設計と、相手に寄り添った支援が求められます。
多くの教育担当者が、資料やマニュアルを用意し、知識の伝達に力を注いでいますが、それだけでは営業は育ちません。
この記事では、営業育成において不可欠な3つの「公式」と、それを現場でどう活かすかを解説します。
【公式①】マインドセットの確立

営業を始めたばかりの新人は、右も左も分からない状態でスタートします。
そんな彼らにまず伝えるべきこと、それは「目標の意味」です。
よくある育成失敗の原因は、目標が曖昧なまま進めてしまうこと。
たとえば、「3カ月で300万円売る」という数字目標だけを伝えても、本人にとっては現実味がありません。
ここで必要なのは、「なぜそれをやるのか」「何のために頑張るのか」を言語化させることです。
また、目標には「期間」と「数字」の両方が必要です。
単に「これだけ売れ」と言うのではなく、「3カ月で」「月○件で達成できる」といった逆算思考で組み立てること。
これが、営業としてのロジックを形成する最初の一歩です。
そして重要なのが、「答えは会社が与えてくれない」という認識を持たせること。
マニュアルやツールは提供されても、「売れる方法」は自分で見つけていくもの。
だからこそ、成長するための“自走力”をマインドとして育てる必要があります。
【公式②】知識と技術、修正と成功体験

次に必要なのが「知識」と「技術」の両輪です。
知識とは、業界情報や営業基礎、マナーなど。技術とは、トークや応酬話法、ロールプレイングの実践力です。
ただし、これらを学ばせるだけでは育ちません。
重要なのは「修正力」です。
営業育成における最大のポイントは、「どこが問題か」を見抜いた上で、「どう修正させるか」までを具体的に導くこと。
教育担当者がやりがちなのが、「そこは言い方が悪いよ」「もっと熱意出して」といった“指摘”のみの対応。
しかし、指摘だけで変われるなら誰も苦労しません。
本当に必要なのは、「どう変えるかのプロセス」です。
そして、その修正を通じて「成功体験」を積ませること。
これは育成における最初のゴールでもあります。
自分で一度成果を出したという実感が、自信につながり、次のチャレンジへのモチベーションとなるのです。
【公式③】責任感を持たせる

最後に、新人にとって最も大切なのは「責任感」です。
営業とは「売ること」が目的であり、それができなければ周囲に影響が出ます。
1件のアポイント、1件の商談が、どれだけの時間とコスト、社内リソースを使っているか。
それを理解せずに数字だけを追うと、当事者意識が育ちません。
また、「売れないこと」がもたらす影響を、あえて伝えることも時には必要です。
売れない=悪ではないものの、その状態が続くことで誰かが損をする。
営業とは、会社の利益を生むために存在している職種。
だからこそ、自己責任と同時に「チーム責任」も教える必要があります。
「自分は達成してるから関係ない」という思考が組織に広がると、チームの成長は止まります。
営業は“個”の成果と“組織”の成果、両方に責任を持つべき存在です。
【おまけ】クセ抜きの重要性

新人が伸び悩む理由の一つに、「クセ」があります。
話し方、表情、説明の構成、言葉の選び方。
これらは自然についたものであり、放っておくと成長の足かせになります。
しかし、クセは指摘では抜けません。
必要なのは「体験」と「修正」の反復。
たとえばロープレを1時間、クセだけに集中して何度もやり直す。
他の要素には一切触れず、クセの改善だけに特化するのです。
その際、伴走者(教育担当)は「厳しすぎないこと」もポイント。
楽しく、前向きな空気を作りながら修正を促すことで、本人の抵抗感を減らし、改善がスムーズになります。
営業育成は“人”を育てること

営業育成において必要なのは、単なる知識やスキルの伝達ではなく、「人」を育てるという視点です。
そのためには、
1. 自走力を育てるマインドセット
2. 成功体験を積ませる修正の仕組み
3. 営業の責任感を伝える姿勢
この3つをしっかりと意識すること。
加えて、クセの改善を通じて「本人の変化体験」を増やすことで、営業としての基礎が築かれます。
育成の本質は、「教えること」ではなく「変化を支援すること」。
ぜひ、この記事をきっかけに、教育担当としての支援力を見直すヒントにしてみてください。
営業育成において成果を出すチームは、共通して「仕組み」と「姿勢」が整っています。
どれだけ優秀な個人がいても、属人的な指導や偶発的な成功だけでは、長期的な育成にはつながりません。
だからこそ、教育担当者は“属人性を排除した育成の設計”を行うことが求められます。
たとえば、「誰にでも再現可能なトーク構成」や「応酬話法の選び方」などを仕組みとして整理し、
そのうえで各新人の特性やクセに応じて微調整を行う。
このように“型”と“柔軟性”の両方を持った支援が、成果につながるのです。
また、営業現場では数字へのプレッシャーも大きく、育成中にメンタル面で落ち込む新人も少なくありません。
そのとき教育担当者がどのように寄り添い、時には背中を押し、時には休ませる判断を下せるか。
育成とは、「支援」と「判断」の連続です。
さらに、育成期間中のフィードバックの質も重要です。
単に「よかった」「悪かった」と伝えるのではなく、「なぜよかったのか」「どうすればもっとよくなるのか」を言語化することで、
新人は“振り返る習慣”を獲得していきます。
これは育成の最終段階において、「自己修正力」を持った営業へと育てるうえで不可欠な力となります。
教育担当者が持つべきスタンスは、「売れるようにする」ではなく「売れるようになってもらう」。
自分の手で変化を実感したとき、営業は初めて一人前になるのです。
この“自立の起点”を支えるのが、教育担当者の役割です。
そして最後に、新人の成長は教育担当者の自己成長にもつながります。
「どう伝えれば伝わるか?」「どんな順序で教えれば腹落ちするか?」を考え抜くことは、指導者自身の思考力・伝達力を高めてくれます。
育成とは、教える側がもっとも鍛えられる場でもあるのです。
育成におけるもう一つの鍵は、「段階的な成長設計」です。
いきなり完璧を求めるのではなく、最初は“最低限ここまではできてほしい”という基準を設ける。
そして、その達成が見えたら次のレベルへと導く。
このステップ設計がなければ、本人は“ずっと怒られている”“何ができれば合格なのか分からない”という混乱に陥り、モチベーションが続きません。
たとえば「初回訪問時のアイスブレイク成功」が最初の小さな成功体験でも構いません。
まずは「1件でいいから自分でアポをとる」「お客様から褒められる対応をする」など、
成果とは別軸の成長ポイントを設定しておくことが、育成成功の秘訣です。
教育担当者の“目”が細かく、期待値の“段階”が明確であるほど、
新人営業は「自分はちゃんと見てもらえている」と感じながら努力を続けられます。
だからこそ、育成は「観察」と「設計」と「支援」が三位一体。
これらを高いレベルで提供できたとき、組織の中に“育成文化”が根づき、営業が育つ土壌が整います。
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