あなたが新たにマネージャーに就任したとき、
「どうすればうまくチームを運営できるのか」と悩むのは当然のことです。
今回は“初級編”として、これからチームを担うあなたが最初に向き合うべき「マネジメントの基盤」をお伝えします。
■ あなたはマネージャーとして「どうしたいのか」

まず最初に考えるべきことは、チームをどうしたいのか、です。
あなたがマネージャーとして任された以上、会社から与えられた目標数字を追いかけるのは当然のこと。
誰がマネージャーになっても、それは変わりません。
しかし、チームのメンバーにとっては「誰がマネージャーなのか」は大きな違いです。
なぜなら、マネージャーのあり方がチームの文化や成長速度に直結するからです。
あなたがチームをどう導きたいのか、それはあなたがマネージャーである意味になります。
会社のビジョンや目標と、あなた自身のビジョンや目標が重なった部分に、チーム運営のヒントがあります。
たとえば、「成果よりも成長を重視する文化を作りたい」と思うのであれば、
それを軸に行動や施策を設計する必要があります。
それが、あなたがリーダーとして“空気”をつくることにつながるのです。
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■ 属人性と差別化のバランス
あなたが持つビジョンや目標は、時に属人的で再現性がないように見えるかもしれません。
組織においての属人性は不要。しかし同時に、属人性には「あなたらしさ」や「差別化の核」があります。
マネジメントが属人的すぎると再現性を欠きますが、まったく個性のないマネジメントでは、
メンバーにとって「あなたである意味」を感じることができません。
重要なのは、属人性のなかにある「メンバーへの価値提供」に着目することです。
あなたがどう見られたいか、どう評価されたいかではなく、チームにどんな影響を与えたいかを考えてください。
「このマネージャーだから頑張りたい」と思われる存在になることが、リーダーとしての影響力を持ち、
結果としてメンバーの主体性を引き出すことにもつながります。
■ プレイヤーからマネージャーへ、役割のシフト
あなたがプレイングマネージャーであっても、
「マネジメント」と「プレイヤー」とは明確に役割を分ける必要があります。
プレイヤーとしての成果と、マネージャーとしての成果はまったく別物です。
あなたが「どうしたいか」を考えるときに、自分がいくら稼げるか、評価されるかではなく、
「このチームをどう成長させたいのか」「どんな文化を作りたいのか」という視点を持つことが必要です。
たとえば、自分が売れる営業であることを誇示するのではなく、
「売れる営業を育てるマネージャーであること」を目指すのです。
「育てること」に責任を持つことこそが、プレイヤーとマネージャーの大きな違いです。
■ ビジョン共有 × 自己開示 × 一貫性

あなたが「どうしたいか」を明確にしたら、それをチームに共有しましょう。
そして共有する際には「自己開示」が不可欠です。
なぜそのビジョンを大切にしたいのか? 自分の過去の経験や価値観は何か? どんな未来を共に描きたいのか?
それらを正直に話すことで、チームとの距離は縮まり、「人としての信用」の土台ができます。
ただし、最初から信用されることを期待してはいけません。
メンバーは「どうせ口だけだろう」と思うものです。それで良いのです。
大切なのは、「○○マネージャーはこういうことを大切にしている人なんだな」という認知を持ってもらうこと。
この“認知”こそが、マネージャーとしての第一歩なのです。
信用とは積み重ねで築かれるものであり、最初は“期待半分・懐疑半分”でも構いません。
むしろ、その状態から行動で覆すことで、信用の密度は高くなっていきます。
■ 信用と信頼の違いを理解する
信頼とは「未来への期待」、信用とは「過去の実績に基づく期待」です。
マネージャーとして本当にチームに影響を与えるには、“信用”されなければなりません。
信頼だけで運営をしていると、厳しいことを言ったときに一気に崩れます。
なぜならマネージャーは、時にチームメンバーが不快に思う決断をしなければならないからです。
そのとき、「この人は信用できる」と思ってもらえるには、これまでの一貫した行動が問われます。
信用されるには時間がかかりますが、その分、揺るがない影響力が築けるのです。
また、信用は“マネージャーの背中”から生まれます。
口先ではなく、日々の所作や、叱るときの姿勢、困っている部下に対する行動。
すべてが「本気でこのチームと向き合っているか?」を問われています。
■ 一貫性が印象をつくる
あなたが掲げるビジョンが「部下の年収を上げたい」というものだとしましょう。
それをチームに伝えたのなら、それに見合う行動を常に取り続けることが必要です。
部下を育てる、支援する、失敗に寄り添う――そうした姿勢がなければ、口先だけに見えてしまいます。
一貫性とは、「どんな場面でもブレずに同じスタンスでいること」ではなく、
「発言と行動が矛盾していないこと」です。
メンバーは、マネージャーのすべての言動を見ています。
その観察が積み重なったときに、「この人は信用できる」と評価されるようになります。
■ 発言のすべてがビジョンに結びついていると見られる
マネージャーの発言や行動は、常にビジョンとつながって評価されます。
褒めるときも叱るときも、数字を求めるときも、メンバーとの距離を取るときも、
「この人は○○を大切にしているからこうしているのだな」と理解されるのです。
つまり、あなたが最初に決めた「どうしたいか」が、すべての行動の“基準”になるということです。
たとえば、厳しく叱る場面でも、「あのマネージャーが言うなら納得できる」と思われるかどうか。
それは、普段から“なぜ叱るのか”が理解されているかにかかっています。
だからこそ、はじめにしっかりと考え抜いたビジョンを持ち、それを伝え、体現し続けることが重要です。
■ まとめ:マネージャーはチームが作る

新任マネージャーがやってしまいがちな勘違いの一つに、「自分が偉くなった」と思ってしまうことがあります。
しかし、組織においてマネージャーがマネージャーでいられるのは、チームがあってこそです。
一人ではマネージャーになれません。マネージャーはチームによって“マネージャーにしてもらう”存在なのです。
そして、それは放っておいても自然に形成されるものではありません。
自ら考え、動き、反省し、修正する。その積み重ねによって、印象を設計していくのです。
自分がチームにとってどう見られたいのか、どんな文化を作りたいのか。
それを明確にし、チームに伝え、行動に移す。
この一貫した姿勢こそが、新マネージャーとしてのあなたをチームに根づかせ、
信用されるリーダーへと成長させてくれるのです。
■ チームの“空気”を設計するのがマネージャーの役割
マネージャーが意識すべきは、数字や行動だけではありません。
実はもっともチームの成果を左右するのが、“空気”や“雰囲気”です。
たとえば、「挑戦しても失敗すれば怒られる」という空気があれば、
誰も新しいことに手を出そうとしません。逆に、「まずやってみよう」という雰囲気があれば、
主体性やスピードが生まれます。
この空気を形づくるのは、メンバーではなく、マネージャーです。
普段の何気ない声かけ、指示の出し方、褒めるタイミング、叱る態度。
それらが合わさって「このチームはこういう空気なんだな」と認識されます。
チームの空気は、マネージャーの“無意識の言動”が生み出していることを忘れてはいけません。
■ “期待値設計”こそがマネジメントの鍵
マネージャーは部下に何を期待しているのか、部下は自分に何を期待されているのか。
この“期待値”がすれ違っていると、指導もコミュニケーションも全てがズレてしまいます。
だからこそ、ビジョン共有と並行して「あなたにどんな役割を期待しているのか」「どんな強みに期待しているのか」を言語化して伝えることが大切です。
部下は「マネージャーに自分は見られている」と感じることで自信と責任感を持ちます。
これは“管理”ではなく“信頼に基づくマネジメント”の第一歩です。
期待は見せかけではなく、具体的に言語化される必要があります。
たとえば、「君の提案力に期待している」と明確に伝えるだけでも、行動と成果に違いが生まれるのです。
■ 最後に:あなた自身が“リーダーシップの実験台”になる覚悟を
マネージャーという役割は、正解がありません。
自分の考えや信念をもとに、仮説を立て、行動し、検証し、修正する。
それを繰り返す“リーダーシップの実験”です。
その実験台は、他ならぬあなた自身です。
あなたの覚悟と行動力こそが、チームの姿を変え、成果を変え、人の人生すら変える可能性を秘めています。
「マネージャーにしてもらった立場」ではなく、
「マネージャーとして自ら立ち上がった存在」として、今日から一歩ずつ歩み始めてください。
そのすべてが、未来の信頼と成果につながっていきます。
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対面伴走支援・完全オンライン支援と環境に合わせたマネージャーの“判断軸”のサポートをさせていただきます。
マネジメントの正解は、組織や規模によって異なります。
パッケージ化できれば、わかりやすいですが、組織やチームの実行者が“人”である以上、
完全に感情を排除することはできません。
だからこそ、まずはチームの状況をお聞かせください。
今あるチームがさらによくなるためのマネジメントを一緒に作らせていただきます。