営業という仕事は、行動の積み重ねによって成果を生み出す職種です。
その中で、感情に引っ張られて足が止まったり、必要以上に落ち込んでしまったりする人が後を絶ちません。
特に営業初心者のうちは、初めての経験に気持ちが乱され、自分でも気づかぬうちに行動がブレてしまうことがよくあります。
今回は、営業初心者が感情に振り回されずに、安定的に行動を続けるための
「セルフコントロールの考え方とコツ」をご紹介します。
【1】感情は営業の一番の敵?

まず大前提として知っておいてほしいのは、「感情は営業の行動を鈍らせる」ということです。
たとえば、「今日こそアポが取れる気がする」と期待して動いて、
結果が出なかったときの落ち込み具合は、通常の倍以上になります。
逆に「今日はダメそうだな」と不安に思いながら動けば、そもそも行動の質が下がります。
営業において大切なのは、感情に左右されずに
「やるべきことを、やるべき数だけ、やりきる」こと。
それを繰り返してはじめて、再現性のある結果が生まれます。
感情は敵にしなくていい。ただし、「営業行動に混ぜてはいけない」
これが営業初心者が最初に理解すべき基本スタンスです。
【2】もしかしたら○○って、ほとんど起きない

営業の現場でよくある感情の正体は、正体不明の漠然とした「不安」です。
「もしかしたら怒られるかも」「断られたらどうしよう」「お客様にこれ以上連絡すると嫌われるかも」
でも、そうした“たられば”のほとんどは、現実には起こりません。
人は、自分の想像の中で感情を膨らませ、勝手に自分の行動を止めてしまいます。
「悪い想像をしてしまうこと」がいけないとはいいません。
問題は「悪い想像」が「悪い想像のまま」止まっていることです。
本来営業に必要なのは「悪い想像」が起きたときにどのように対処するかを事前に決めておく
「悪い想像」をするのであれば、ここまでセットで考えなくてはならないのです。
これができて初めてそれは「感情的な悪い想像」ではなく「リスクに対する備え」に変換されるのです。
また、仮にミスをしたとしても、その一回の行動ですべてが壊れることはありません。
それで関係性が終わるような場合は、他にもっと大きな原因があると考えるのが合理的です。
時間とエネルギーを、不確かな「可能性」に使うより、
確実な「行動」に使った方がよっぽど営業として建設的な一日となります。
【3】一回や一件、一時間の行動でいちいち一喜一憂しない
営業では「分析やフィードバックが大事だ」と言われます。
でも、ここで一つ注意してほしいのは、それらが意味を持つのは「ある程度の母数」があるときだけです。
1件や2件の商談の結果、1時間のテレアポ成果、1回の訪問での反応。
それらに過度な意味づけをしてしまうと、感情がブレて、また動けなくなってしまいます。
だからこそ、最初のうちは「数の暴力」に頼るべきです。
いちいち一喜一憂せず、ある程度のデータが溜まるまでは“淡々と数を積み上げる”姿勢が必要です。
【4】切り替えられないなら、無理に切り替えない
感情を切り替えようとして失敗、余計に自分を責めてしまう人がいます。
でも、それは無理もありません。人間はそんなに器用に感情を切り替えられない生き物です。
もし、どうしても気持ちの整理がつかないときは、「中途半端に壊れかけで走り続ける」のではなく、しっかりと立ち止まること。そしてその理由を、正直にチームや上司に伝えてみてください。
「今はちょっと気持ちの整理がついていなくて…」
「今日は一度リセットして、明日からまた切り替えて動きたいです」
このように説明すれば、きっと理解してくれる人がいます。
感情に引きずられて突っ走るよりも、冷静に止まる勇気を持つことも、セルフコントロールの一つです。
【5】感情は排除できない。だから理解する

よく「感情を排除して仕事をしろ」と言われますが、実は私はそうは思っていないのです。
むしろ、営業においては「感情があるから頑張れる」ことの方が多いと感じている部分すらあります。
セルフコントロールで大切なことはこの操作が非常に困難な「感情」の扱い方を理解することだと思います。
たとえば——
- 誤解されて悔しいから、次こそわかってもらえるように工夫しようと思える
- 失敗して悔しいから、もう一度チャレンジしようと思える
- 信頼されて嬉しいから、もっと貢献したいと思える
つまり、人は感情があるから努力できるし、成長しようと思えるのです。
ただし、注意点もあります。感情が暴走すると、取り返しのつかないミスをしてしまうことがあります。
誰かを傷つけたり、自分を追い込みすぎて潰れてしまったり。
だからこそ大事なのは、「事実」と「感情」をしっかりと切り分けることです。
- 事実=何が起きたか
- 感情=自分がどう感じたか
この2つをごちゃ混ぜにしないこと。そして、感情にブレーキをかける方法を学ぶこと。
暴走せず、自責で考える習慣をつけましょう。
最後にもう一つ。「人は人。自分は自分。」という軸を持つこと。
他人と比べると、感情は揺らぎます。
自分なりの物差しで、自分を認め、自分のペースで進むことが何より大切です。
【まとめ】
営業初心者にとって、感情との付き合い方は大きなテーマです。
- 感情は行動の妨げになる
- 「もしかしたら」はほぼ起きない
- 小さな出来事に一喜一憂しない
- 切り替えられない時は立ち止まってOK
- 感情は排除せず、理解して共存する
- 事実と感情を分け、暴走を防ぎ、自責で考える
- 人は人。自分は自分
これらの視点を持っていれば、少しずつ「感情に振り回されない営業」に近づいていきます。
営業の成果は、地道な行動の継続からしか生まれません。
その行動を止めてしまう一番の要因が、実は“感情”なのです。
感情とうまく付き合えるようになったとき、営業はもっと楽しくなります。
自分の成長を感じ、相手との信頼を築き、仕事に誇りが持てるようになります。
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【最後に】セルフコントロールに必要なのは「意識する習慣」

営業初心者が感情に流されずに行動を安定させるには、「自分の状態に気づく力」がとても重要です。
たとえば、いつもなら明るくテレアポしていたのに、今日は声のトーンが落ちていたり、無意識にため息が増えていたり。そうした変化に「自分で気づける」ことが、セルフコントロールの第一歩です。
だからこそ、自分の感情を言語化する習慣を持つことが有効です。
毎日5分でもいいので、「今日の自分はどんな感情だったか?」を振り返ってみましょう。
感情の変化には必ず“きっかけ”があります。
そのきっかけに気づければ、次はその対処法も準備できるようになります。
これが、感情の波に飲まれず、自分で自分を守る力になっていくのです。
セルフコントロールは一朝一夕で身につくものではありませんが、確実に「慣れ」で育てることができます。
気づく → 整える → 守る。このサイクルを意識的に回すことが、営業力の土台を支える“本当の強さ”になります。
あなたの営業人生は、あなた自身の手で変えられます。
「感情を味方につける力」は、一生もののスキルです。
今日から、少しずつ始めていきましょう。