嫌われたくない営業が売れない理由|“営業の覚悟”とは?

「検討中」が続く営業に足りないもの

「アプローチまではできるんですが、クロージングが苦手で…」
「お客様に嫌われたくなくて、なかなか商品を強くすすめられないんです」

営業の現場で、こうした声を聞くことは珍しくありません。
真面目で丁寧なタイプに多く見られるこの傾向ですが、放置すると深刻な問題を生みます。

それは、“検討中”という無限ループ。

お客様の反応を恐れて決め切れず、「また検討します」で終わってしまう。
こうなると、売上はもちろん、時間や労力も失われていきます。

営業という仕事の本質は、お客様の「決断を後押しすること」。
その本質を見失うと、クロージングでの躊躇は加速度的に増していきます。

では、なぜ営業はクロージングで立ち止まるのか?
その答えの多くは、「営業の覚悟」にあるのです。

営業とは、“薦める”ことに責任を持つ仕事

「営業って、売り込むのが仕事だから苦手で…」

そう言う人は多いですが、そもそも“売り込む”という表現が、営業という仕事を歪めてしまっています。

営業とは、「お客様にとって価値がある」と信じた商品を、自信を持って“薦める”仕事です。

誰かに何かを薦めることは、決して悪いことではありません。
むしろ、「この商品があれば、あなたの業務や人生はこう変わりますよ」と伝えることが、営業という仕事の存在意義です。

ここで重要なのは、営業がお客様にとって“必要かどうか”を勝手に判断しないこと。

営業が「この人には必要ないかも…」と勝手に線引きをするのは、最大の失礼。
お客様にとって必要かどうかを決めるのは、お客様自身の役割なのです。

営業がすべきことは、選択肢を提示し、納得の材料を提供すること。
その先にある“判断”は、営業の仕事ではなく、相手の責任です。

「物振り」から逃げる営業は伸びない

アプローチはうまくできる。雑談も、ヒアリングも問題ない。
でも、「いざ商品の話になると詰まってしまう」という営業が本当に多い。

これが、「物振りから逃げる」営業です。

特に新人に多いのが、「このタイミングで商品を出したら嫌がられるかも」「押し売りだと思われたら…」といった“自意識過剰”によるブレーキ。

けれど、逆の立場で考えてみてください。
あなたが困りごとを抱えていて、誰かが「こういう方法がありますよ」と提案してくれたら、むしろありがたいのではないでしょうか?

伝えなければ、伝わりません。
薦めなければ、検討の土台にも乗りません。

営業が“物振り”に躊躇することは、お客様から決断の機会を奪う行為なのです。

クロージングは“決断を引き出す技術”である

営業のゴールは契約です。
しかし、契約に至らなかった場合でも、明確に「導入しない」とお客様に意思決定してもらえれば、それは立派な成果です。

一方で、「検討しておきます」「上に確認しておきます」という言葉を受けて、「ではまたご連絡しますね」と引き下がる営業がとても多い。

これは一見“柔らかい対応”に見えますが、実は一番中途半端で無責任な終わり方です。

営業としてのクロージングとは、「決断を引き出すこと」。
YesかNoか――白黒をつけることで、次の一手が生まれます。

失注もまた成果です。
曖昧な“保留”状態を量産することが、最も組織にとって損失になります。
物理的に決断を迫れない環境があることは理解できます。
そんな時でも、最低でも「いつまでに」という具体的な日時を明確に決めましょう。
回答期日も設定できない「検討」は「検討されていない」ということに気付くべきなのです。

「検討します」という言葉を信じて数週間待ち、連絡も取れずに終わる――そんなケースが積み重なると、営業活動そのものが“徒労”になります。
クロージングとは、「この場で決められない理由」をあぶり出し、次回までに何をクリアすべきかを明確にする工程なのです。

嫌われないための営業をしていないか?

「嫌われたくない」「強引な営業と思われたくない」

こう思う気持ちはよく分かります。
しかし、お客様に好かれることと、成果を出すことは、必ずしも一致しません。

営業という職業は、“あなた”を好きになってもらうためのものではありません。
お客様の課題を解決し、導入後に「本当に良かった」と思ってもらうことこそが、本当の信頼につながるのです。

「この人、話しやすいな」「いい人だったな」ではなく、
「この人が言うなら任せてみよう」「導入して本当に正解だった」と思ってもらうこと。

そのためには、時に言いにくいことも言わなければならないし、決断を迫る場面も必要です。

「嫌われたくない」ではなく、「正しく納得してもらいたい」
その覚悟が、営業には必要なのです。

商品以外の“付加価値”を探せ

「うちの商品は特徴が弱くて…」
「競合に比べて価格が高くて…」
「ネームバリューで負けているから…」

売れない理由を並べるのは簡単です。
でも、同じ商品を売っていて、成果を出している人がいるなら、その差は“商品”ではありません。

営業の付加価値は、商品そのものに限りません。

・丁寧な導入サポートがある
・対応スピードが早い
・担当営業が信頼できる
・納品後も相談できる

こうした要素も、すべてが“営業というパッケージ”の一部です。

競合優位性がないと感じたときこそ、「商品+営業」で勝負する意識が求められます。
付加価値は「無い」のではなく、“見つけていない”だけなのです。

売れない理由を「自責」で考える

営業が成長するうえで、最も大切な姿勢があります。

それは、「売れない理由を他責にしないこと」です。

価格のせい、競合のせい、上司のせい、会社のせい――
環境に不満を言いたくなる気持ちは分かりますが、それは何も変えません。

同じ環境でも売れている営業はいます。
彼らがなぜ売れているのかを素直に観察すること。
その努力を怠る限り、成果はいつまでも“外的要因のせい”で止まったままです。

曇ったメガネを外す覚悟。
「自分に何が足りないのか」と真正面から向き合う勇気。

それこそが、営業としての本当の“成長力”なのです。

まとめ|クロージングに必要なのは、覚悟である

営業という仕事の本質は、「薦めること」。
どんなにクロージングの技術を身に着けてもこの根底に覚悟を持てなければ、素晴らしい技術も残念ながら意味を持ちません。
商品に価値があると信じているなら、自信を持って薦めなければいけません。
これから営業として成長していくのであれば、このスタート地点にしっかり立たなくてはなりません。
覚悟だけは会社が与えてくれるものではありません。自分で決めて貫くものです。
そしてそれは“最も早く習得できるクロージングスキル”の一つとなります。

「検討」で終わる営業は、覚悟のない提案です。
YesかNoかを引き出す勇気。
嫌われることより、伝えきらないことを恐れる責任感。

売れない理由を自分以外に求めた瞬間から、成長は止まります。
“商品以外の付加価値”を見つけ、自らがその価値の一部になるという覚悟。

営業に必要なのは、技術や知識ではなく、まずは「提案する覚悟」

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